滋賀県北部、人口約11万人が暮らす長浜市。
この長浜市の新春の風物詩といえば「長浜盆梅展」です。
長浜盆梅展は長浜市の主催のもと、毎年1月10日〜3月10日前後の日程で2ヶ月間に渡って開催される盆梅の展示会。
その規模や歴史から「日本一の盆梅展」を標榜しており、近年は会期中に約3〜5万人が訪れます。
なんと今年で第68回を迎えるというので驚きですね!
今回は長浜市出身にも関わらず一度も盆梅展に行ったことのない「のっさん」が、今年人生で初めて盆梅展に行ってきたので、そのときの様子をもとに盆梅展を詳細にレポートしたいと思います。
正直想像以上の展示内容だったので、盆梅なんてみたことない方・初めて訪れる方でも十分楽しめると思います。
ぜひ参考にしてみてください!
長浜盆梅展ってなに?そもそも盆梅って?
まずは、私同様これまで盆梅に縁のない人生を送ってきた方に向けて、簡単に盆梅のことをご説明しておきましょう。
そもそも盆梅とは
そもそも盆梅ってなんなのだ??とよくわからない方が多いかもしれません。長浜生まれの筆者もお恥ずかしながらよくわかっていませんでした。
しかし、難しいことはありません。盆梅とは簡単に言えば「梅の木の盆栽」です。読んで字のごとくですね。
長浜以外でも盆梅展が開催されている場所はありますが、やはり盆梅展といえば全国的にも「長浜」のイメージがあります。
「日本一の盆梅展」と言われる理由
(スクリーンショット:長浜盆梅展公式サイトより)
長浜盆梅展は「日本一の盆梅展」を標榜しており、知名度も全国区。一体これほど著名なのはなぜなのでしょうか。
その大きな理由のひとつは「他に類を見ない巨木・古木が常時展示されている」という展示の圧倒的な規模でしょう。
長浜盆梅展は展示に備えて約300鉢の盆梅を育てあげています。そしてその中から開花段階などを鑑みて最も状態のいい90鉢を入れ替えながら展示するのだとか。
そうして厳選を経て展示された盆梅はやはり非常に優れた作品が多いわけです。
樹齢100年を超える木も多く、中には250年を超える木もあります。さらに高さ3m規模の巨木もあるなど、迫力と美を兼ね備えた盆梅の数々を一度に鑑賞することができる展示会になっています。
ここまでの内容の展示会はなかなかなく、「日本一」を標榜するにふさわしい展示内容と言えるでしょう。
70年近くの歴史を誇る盆梅展
そんな素晴らしい展示を実現するためには一朝一夕の準備では到底足りません。
長浜盆梅展の展示の「深み」を支えているのが、連綿と受け継がれてきた盆梅展のこれまでの歴史です。
実はこの長浜盆梅展、2019年で第68回を迎えています。
第一回の開催が1952年というので、およそ70年近くの歴史を持つ展示会なわけです。
その始まりを作り上げたのが、高山七蔵さん。
彼は第二次世界大戦で荒んでしまった世の中に少しでも喜びを届けられればとの思いから長年かけて自分で育て上げた盆栽を1951年に長浜市へ寄贈しました。
これをきっかけに盆梅展が始まったのだといいます。
世の中に喜びを届けたいという思いから始まったのが長浜盆梅展なんですね。
明治天皇ゆかりの会場「慶雲館」
長浜盆梅展の会場は毎年「慶雲館」と決められています。
この慶雲館は非常に由緒正しい場所として知られている建物です。
そもそも慶雲館が建てられたのは、明治天皇・皇太后の行幸啓の際に長浜にお迎えする迎賓館としてなのです。
天皇・皇后がご一緒に外出されること(出典:宮内庁HPより)
明治19年(1886年)に行幸啓として京都に出かけられる道中で、舟で長浜に上陸されるとの情報が入ったため、休憩所をつくるために長浜の豪商であった浅見又蔵氏が私財を投げ打っておよそ3ヶ月で創り上げたのだといいます。
さらに命名は初代内閣総理大臣として知られる伊藤博文だというから驚きです。
当時は敷地の南側と西側が琵琶湖岸だったことから美しい眺望だったようで、2階からは琵琶湖や伊吹山が見渡せる景観が広がっていたのだと言います。
往時の景色は今は見ることができませんが、その名前からいかにすばらしい景観だったのかが想像できるような気がします。
日本庭園に一歩入ると別世界
現在の慶雲館の特徴の一つは、平成17年に国の名勝にも指定された美しい庭園。
盆梅展を見に来られた方は、盆梅だけでなくぜひこの庭園にもご注目いただきたいと思います。
この庭園を創り上げたのは「近代日本庭園の先覚者」と呼ばれる七代目小川治兵衛(おがわじへえ)です。
彼の特徴は自然の景観を庭に組み込んだり、躍動感ある水の流れを再現するという、自然主義的な構造。
慶雲館の庭園も外から一見すると鬱蒼と生えた木々しか見えませんが、一歩足を踏み入れると全く別世界にまぎれこんだような感覚すら抱かせる庭になっています。
それではいざ門をくぐって、盆梅展の展示を観にいってみましょう!
息を呑むほど圧倒的な盆梅の数々
盆梅という言葉の響きだけ聞くと、ちょっと古臭いような地味な印象を受けるかもしれません。
しかしそんなイメージは実際の盆梅展の展示を見れば一瞬にして吹き飛びます。
豪華さとともに気品もあり、雰囲気抜群です。
慶雲館の特徴を活かした展示
慶雲館はもともと迎賓館だっただけあり、ひとつひとつの部屋が広いのが特徴です。
その特徴を活かして、多数の盆梅をひとつの部屋にずらりと並べた展示がなされています。
この展示がより迫力や豪華さをひきたてているのでしょう。
また、会場に入った瞬間、ふわりと梅の甘い香りが漂い、鼻孔をくすぐります。
それが一足早い新春を来場者に感じさせてくれます。なんだか素敵ですよね。
展示は「光と陰の芸術」
長浜盆梅展は、ただ盆梅作品を鑑賞するだけというよりはむしろ「光と陰の芸術」だと言っていいほど、照明がうまく活用されています。
照明の美しさも長浜盆梅展の大きな特徴の1つとして見逃せません。
この光と陰の絶妙なバランスによって、どこを切り取っても「映える」展示が実現できているわけですね。
写真好きにはたまらない!
長浜盆梅展には写真好きの方が集まることでも有名です。
実際私が訪れた日も平日の昼間だったにも関わらず一眼レフカメラを持った人が何人も訪れていました。
(というか、来場者のほとんどが写真撮影目的だったように感じました。笑)
フォトコンテストも開催
(スクリーンショット:長浜盆梅展公式サイトより)
そんな長浜盆梅展なので、毎年展示会を題材にしたフォトコンテストが開催されています。
以下の4つの部門が用意されているようです。
- プリント部門
- デジタル部門
- プリント・デジタル両部門共通
- Instagram部門
超簡単に応募可能!インスタ部門
個人的に注目すべきは「Instagram部門」かなと思います。
2019年の場合はハッシュタグで「#長浜盆梅展フォトコンテスト2019」と付けて投稿すれば応募完了。
めちゃくちゃ簡単ですね!
これならフォトコンなどに応募したことのない方でも気軽に参加できそうです。
すでに多数の投稿がなされているので、投稿作品を見ているだけでも楽しいです。
≫ Instagram #長浜盆梅展フォトコンテスト2019 を見る
2階には飲食&お土産も
鑑賞するだけが盆梅展の楽しみではないこともお伝えしておかなければなりません。
実は二階には飲食スペースやお土産販売所も用意されています。
これって意外と知られてないのでは?
飲食スペースでほっと一息
飲食スペースは和の雰囲気で統一されており、盆梅展鑑賞の雰囲気そのままにリラックスできます。
各テーブルにはひとつずつ盆梅が置いてあるのもとてもオツです。
メニューは「抹茶」「梅茶」「ジュース(オレンジ・アップル)」があります。
また抹茶には「信楽焼の抹茶碗付き」のセットもあり、滋賀らしさも楽しむことが可能です。
梅推しのお土産も魅力的
飲食スペースの隣にはお土産の販売所が設置されています。
ここは通常の地域のお土産はもちろんのこと、盆梅展にちなんだたくさんの「梅系」のお土産が用意されていました。
お土産にぴったりだし見ていて楽しい!
▲梅酒かすていら
▲日本酒仕込梅酒 つぼみうめにごり(佐藤酒造)
▲かわいい木の起き上がり人形も。
出口付近では盆梅の販売も
慶雲館の建物の出口のすぐそばの場所では、盆梅の販売が行われていました。
ずらりと並んだ盆梅に圧倒されます…!!
すごく高価なもののイメージがあったのですが、一株数千円のものからあったので、意外と個人でも気軽に購入できるものなのだと驚きました。
忙しくてもできる趣味として始めてみても良いかもしれませんね。
長浜盆梅展の入館料・時間
●入館料
おとな 500円
小中学生 200円
団体料金 15名以上1割引
●開場時間
9:00 – 17:00 (入場は16:30まで)
期間中無休
盆梅パスポートで長浜をおトクに巡ろう!
さて、ここまで読んで頂いた皆さんにおトクな情報を!
長浜では、盆梅展の開催期間中「長浜盆梅パスポート」というものが販売されます。
これは盆梅展の入館券とともに長浜市内の有料観光スポット4施設の入館が可能なチケットがついてくるチケット集です。
盆梅展だけで入館に500円かかるのですが、それに加えて4つのチケットがついてきて、価格は1000円!
充実のラインナップなので、かなり割安ですね〜
盆梅展に来たついでに長浜市内を観光するなら買っておいて損はないかと思いますよ!
(私は長浜城に行ったときに買いました)
アクセス
会場の慶雲館は、近くまで行くと街中の至る所に矢印看板がでています。
しかし、地味に分かりにくい場所なので写真で解説しておきます。
長浜城近くまでいくと、歩道橋が見えてきます。ここの曲がり角を長浜港とは反対方向に曲がります。(徒歩の場合は歩道橋を渡ります。)
その道を100メートルほど進んだ場所に慶雲館があります。
踏切を渡らずに右手を見ると、入り口があります。
駐車場は豊公園駐車場がおすすめ
慶雲館や長浜駅の周辺には多数の駐車場がありますが、個人的には「豊公園駐車場」が安い&停めやすかったので、おすすめです!
実際の駐車場の様子はこんな感じです。時間帯によってはかなり空いてます。
駐車料金はなんと「最初3時間無料」!!
(出典:長浜市WEBサイトより抜粋)
それ以上は1時間100円計算で駐車料金が加算されていきます。
ざっくり調べてみた感じでは、付近の駐車場では最も安いのではないかと思います。ぜひ利用してみて下さい。
まとめ:長浜盆梅展は想像を超えた満足度
今回初めて「長浜盆梅展」に行ってみたのですが、正直想像を大きく超える満足度でした!
盆梅という言葉の響きでなんとなく敬遠していたのですが、展示は非常に美しく、豪華で、品があり、見ていて全く飽きませんでした。
私は写真撮影が趣味なのですが、カメラが好きな人にとっては最高の撮影スポットであるとも思います。
しかし実は長浜盆梅展、これほどすばらしい展示会なのに、ここ3年ほど連続で入場者数が減少しているのだとか…
もっともっと長浜盆梅展の素晴らしさが伝われば良いなあと心から思います。
この記事が長浜盆梅展に行こうかと迷っている人の参考になれば嬉しいです。
【mamizu web編集長】滋賀県出身の27歳。大学進学を機に地元を離れ、岡山、札幌、高知などで暮らした後、2018年末に帰郷。改めて地元で暮らすとWEB上の信用できる情報の少なさに気づき、2019年1月に滋賀の観光おでかけメディア『mamizu web』を立ち上げる。個人としては2016年1月にブログを立ち上げ月間10万PV規模のサイトに。外部メディアでライターとして執筆経験も多数。趣味は旅行と写真撮影。