黒壁スクエアや曳山まつりなど滋賀県を代表する観光地、長浜市。
そんな長浜に来たらやはり食べてみたいのはその土地独特の「ローカルグルメ」。
長浜は北国街道に見られるように、長らく交通の要衝として栄えてきた歴史を持っており、近畿圏と東海・北陸地方を結ぶ場所となっています。
そして琵琶湖や伊吹山など豊かな自然に囲まれた土地柄ということもあり、独自の食文化が育まれています。
「鯖そうめん」や「鮒ずし」「鴨すき」などの郷土料理はよく知られるところですね。
そんな数ある郷土料理の中から、今回ご紹介するのは「のっぺいうどん」と呼ばれるうどん料理。
郷土料理としての地位を確立したうどん料理とは一体どんなものなのかーー。
今回は詳しく調査をするために、のっぺいうどんを看板メニューとして扱う老舗の名店「茂美志や」さんに伺って実際に頂いてきました!
その様子をレポートしたいと思います。
「のっぺいうどん=大阪×京都」!?
(▲スクリーンショット:「茂美志や」公式サイト-2019.03.23閲覧)
茂美志やの公式サイトの記載によるとのっぺいうどんとは「大阪のあんかけうどん」と「京都の志っぽくうどん」が組み合わされて生まれたものなのだとか。
あんかけうどんはその名の通り、汁があんかけ風にとろみがつけられたうどんのこと。具材が少なめのものが多い傾向にあります。
志っぽくうどんは、数種類の野菜を煮込み、うどんの上にかけたものを指します。発祥は香川県なのだとか。
そしてこれらの特徴を併せ持ったものがのっぺいうどんである、と茂美志やさんは表しているわけなんですね。
うーん、ますますどんなうどんなのか気になります!
茂美志やは黒壁ガラス館から徒歩30秒!
ということで茂美志やさんに向かいます。
茂美志やは長浜の有名観光地、黒壁スクエア内に位置しています。
最も有名であろう「黒壁ガラス館」のほぼ真向かい、徒歩30秒ほどの場所に位置しているので、観光中のアクセスもバッチリ!
好立地なだけに、真冬のお昼時には行列必須です。
歴史を感じる赤い暖簾と看板が目印
黒壁の建築物が立ち並ぶ趣のあるエリアの中に、溶け込むさまざまな店舗。
そのなかでも特徴的な「赤い暖簾」がかかっているお店が、茂美志やです。
歴史を感じる暖簾は、長らく長浜の郷土料理を支え続けてきた時代の流れを感じさせます。
さらに上を見上げると「名物のっぺいうどん」とかかれた大きな看板も見つけることができるでしょう。
たくさんのお店がある黒壁スクエアの中でも印象的な外観の店舗のひとつです。
大正時代から続く老舗が守ってきた地域の食文化
どこか歴史を感じる茂美志やの外観。
それもそのはず、なんとその歴史は大正元年にまで遡ります。
前身となっているのは現在の店主の祖母がはじめた「紅葉や」という名のうどん屋さん。
大正中期には洋食などのメニューも手がけるようになり、従業員も20人を超えるほど事業を成長させたのだとか。
その後、戦後には事業を縮小し、うどん屋一本になったものの、家族経営で事業を継続させ、今にまで至っているのだそうです。
まさに一家で地域の食文化を守ってきたのですね。
長浜らしさ溢れる雰囲気の良い店内
店内に一歩足を踏み入れると、昔ながらの木造の町家の雰囲気に包まれます。
そんな構造の中に長浜らしい装飾が施されていて、ローカルな魅力を存分に感じることができます。
ガラス工芸で有名な長浜だけあって、ステンドグラス調の装飾もいくつも目に入ります。
昔ながらの建築物の中で妙に色ガラスが調和しているので、不思議です。
ガラス工芸を店内で探してみるのも楽しいですよ。
茂美志やはもともと「紅葉や」という名前だっただけあって、紅葉のデザインも目立ちます。
一階と二階をつなぐ階段の途中の窓にはすりガラスで紅葉の装飾が施されています。
また、一階の待合スペースの上部は二階まで吹き抜けの構造になっています。
独特の建築の構造ですね〜。
地元の人に聞くと、かつては中二階がありもっと独特な構造だったそうです。
リノベーションされた二階がかっこいい
二階は最近リノベーションされたとのことでモダンな印象も併せ持ったスペースになっています。
曳山まつりの絵画や模型などもうまくインテリアとして活用されており、やはり長浜への地元愛を肌で感じます。
二階奥テーブル席
私は今回、二階の一番奥のテーブル席に通して頂きました。
どっしりと構えられたテーブルが歴史を感じさせます。
テーブル上部の明かりのフードにはガラスが使われています。
うまく雰囲気とマッチしてますね。
壁には滋賀県出身の画家の方が描いた長浜の特徴をギュッと凝縮した絵が飾られています。
もちろんのっぺいうどんについての記載も!
一階小上がり座席
ちなみに一階の座席はこんな感じで、小上がりの畳席になっています。
こちらのテーブルも特徴的で、よくよく見ると…なんと曳山祭りの絵が描かれています!
隠れた特徴を探すのが楽しい店内ですね〜。
いざのっぺいうどんを実食!
前置きが長くなりましたが、いよいよのっぺいうどんの実食です。
お湯のみまでのっぺいうどんの印字がされていて、看板メニューであることがよくわかります。
メニュー
おしながきは手作り感満載。
開くとまずお店の紹介があり、続いてのっぺいうどんのメニューが詳しく書かれています。
英語でも記述があるところをみると、海外からの観光客も多いのでしょう。
わかりやすい英語で、かなり丁寧に説明されているので驚きです。
ついに到着!雰囲気抜群の盛り付け
そんなこんなでメニューを読んでいると、いよいよ到着しました。
何から何まで「のっぺいうどん」一色の盛り付け。
器にもしっかりのっぺいうどんの文字が。
ここまで徹底されていると、期待せずにはいられませんね…!
というわけではやる気持ちを抑えて、蓋をオープン!
真ん中に紅葉をかたどった麸、それを囲むようにかまぼこ、湯葉などが配置されており、見た目にも美しいです。
そしてなにより目立つのは巨大なしいたけ。
これが長浜名物の「のっぺいうどん」のお姿です…!
とろみの強い出汁が衝撃的!
のっぺいうどんの最大の特徴といえば、じつはその出汁にあります。
なにが違うのかというと、出汁が非常にとろみが強いんです。
以下のGIF画像を御覧ください。
わかりますでしょうか?
持ち上げたうどんにまとわりつくように出汁が絡みついています。
出汁の底からうどんを引っ張り上げてくるのに多少力が必要なくらい、しっかりととろみのついた出汁なんです。
このとろみの程度には衝撃を受けます。
こんなうどん食べたことがありません!
巨大なしいたけに再度衝撃を受ける
そしてさらなる衝撃を与えてくれるのは具材として使用されている、巨大なしいたけ。
見てください、このサイズ感!
人の手のひらほどのサイズがあります。
とにかく箸で持ち上げるのが大変なほどのずっしりとした重みを感じます。
果たして感触できるのか…?と心配になるくらいの大きさです。
しかしこの巨大さこそが茂美志やの特徴。
これぞ名物グルメ!というインパクトを感じさせてくれます。
もっちりとしたうどんが餡とよく合う
茂美志やのうどんはもっちりとした食感の太めの麺になります。
餡がしっかりととろみがあるので太めでもバランス良く一皿を味わうことができるんですね。
餡は醤油ベースの濃い目の味付けなので、途中でちょっと味変をしてみるのもいいでしょう。
そんなときに役立つのはテーブルに置かれたゆず七味。
ぱらぱらっとふりかけるとゆずの風味と七味の辛味がひろがって麺にかなり合います。
のっぺいうどんは冬期に食べることが多いので、辛味で体がホカホカしてくるのもGOOD。
ぜひお試しください。
まとめ:ここでしか味わえないうどんが長浜にある
長浜の名物、のっぺいうどん。
さば寿司などに比べるとまだまだ知名度は低いですが、非常にインパクトの有るローカルグルメです。
重さを感じるほどとろみの強い出汁、巨大なしいたけ、具だくさんのうどん…
ここでしか味わえない一皿となっており、衝撃を受けました。
黒壁観光、曳山祭り観光などで長浜に来た際にはランチなどにぜひ試してみてはいかがでしょう。
老舗の茂美志やの雰囲気を味わいながら、郷土料理を楽しむひとときもきっと素敵ですよ。
基本情報
infomation
店名:のっぺいうどん 茂美志や
住所:〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町7-15
営業時間:10:30〜18:00(夜のご予約も可能)
定休日:火曜日
TEL:0749-62-0232
WEB:公式サイト
【mamizu web編集長】滋賀県出身の27歳。大学進学を機に地元を離れ、岡山、札幌、高知などで暮らした後、2018年末に帰郷。改めて地元で暮らすとWEB上の信用できる情報の少なさに気づき、2019年1月に滋賀の観光おでかけメディア『mamizu web』を立ち上げる。個人としては2016年1月にブログを立ち上げ月間10万PV規模のサイトに。外部メディアでライターとして執筆経験も多数。趣味は旅行と写真撮影。